目次
- 0.1 トランプ旋風でわかった“インテリの苦悩” ハーバードの学生がトランプ支持を表明できない事情
- 0.2 「悪夢」「ブレクジットよりひどい」 トランプ氏当選、世界に衝撃
- 0.3 トランプ氏勝利 同盟国は慎重姿勢、極右は歓迎 各国の反応まとめ
- 0.4 「とても怖い」、 トランプ氏勝利に衝撃受けるイスラム教徒たち
- 0.5 トランプ氏、大幅軍拡を宣言 対IS計画は「就任後に軍が策定」
- 0.6 安倍首相とトランプ氏、17日初会談=日米関係強化で一致
- 0.7 同盟強化働き掛け=トランプ氏と関係構築急ぐ-首相補佐官を米に派遣・日本政府
- 0.8 大波乱の時代に突入する世界=米大統領選
- 1 デーブ・スペクター氏は本気で心配「米国へのリスペクト失った」
トランプ旋風でわかった“インテリの苦悩” ハーバードの学生がトランプ支持を表明できない事情
続きを読む■「ハーバード大学」にも吹き荒れた「隠れトランプ旋風」(3)粗野で無教養、差別意識を隠そうともしない南部の白人男性たち――そんなイメージで語られがちな共和党候補ドナルド・トランプ(70)の支持層だが、世界中の英知が集うハーバード大学にも、隠れた支持者たちはいる。昨年の夏から1年間、同大学のロースクール(法科大学院)に留学していた山口真由氏が、“隠れトランプ旋風”の実状を明かす。
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さて、ここまでハーバードにおけるトランプ支持者の“思惑”に触れてきた。だが、トランプを支持していたのは彼らのような熱心な共和党支持者や、キリスト教徒だけなのだろうか。
私は思い出していた。ハーバード・ロースクールの友人であるケヴィンが、
「ヒラリーは信用できない。トランプの方がまだ信用できるよ」
と、酔った勢いで呟いていたことを。
「表現の自由」について学ぶクラスで、リベラルな教授は言う。
「共和党の指名争いは、歴史上稀に見る恥ずべき状態になっている」
トランプを「差別する人」、マイノリティを「差別される人」と表現した教授に対し、授業後の立ち話でケヴィンは不快感を隠そうとしなかった。
その決めつけこそが、ステレオタイプな差別だというのだ。
「すべての人がすべての人を差別していると言った偉人がいるけど、僕も同感だ。マイノリティだってある意味でトランプを“差別”しているんだと思う」
と説く彼の言葉は、ハーバード生だけあって説得力がある。そこで私が、
「なぜ、授業中に教授に反論しなかったの?」
と聞くと、
「一度、授業で同性婚に反対したことがある。授業が終わるとLGBT団体が僕の机まで来て、泣きながら抗議した。“あなたは私たちのことを嫌いなのね。だから、差別するのね”って。もううんざりだよ」
■「差別主義者」のレッテルハーバードを卒業した白人男性は、「僕らは自分の意見を自由に表明することができない」という。ポリティカル・コレクトネスが行き過ぎた現在のアメリカでは、白人男性であることはむしろ「原罪」なのだ。努力して好成績を修めても、「優遇されてるからでしょ」と批判されることもあるという。下手に反論すれば「差別主義者」のレッテルを貼られてしまう。
私の留学中に、人種差別に抗議した黒人学生がロースクールのロビーを何カ月も占拠する事件があった。学校側は黒人学生たちに「どきなさい」とは言わないし、彼らが大量に貼り付けたポスターもそのままだ。にもかかわらず、ロビー占拠に抗議した白人至上主義の学生が、トランプのポスターを貼ると学校側によって瞬時に撤去された。
親しくなったハーバードの学生たちも「ロビーを自由に使いたい。占拠はやり過ぎだ」と口を揃えていた。
だが、どうして学校側に抗議しないのか尋ねると、
「自分が矢面に立って“人種差別主義者”のレッテルを貼られたら、この国ではまともに就職できないよ」
とあきらめ顔。
ケヴィンも酔った席での戯言を除いてオフィシャルにトランプ支持を表明することはない。
ポリティカル・コレクトネスが何より重んじられるアメリカ。インテリ層がこれを間違うと大変なことになる。信用を失い、名誉を失い、将来を失う。
トランプ支持を堂々と表明できる、粗野で素朴な南部の白人男性たちはよい。それを公表できない白人インテリ層のなかにこそ、ふつふつと不満が堆積していたのかもしれない。そして、溜りに溜まった鬱憤が、トランプ旋風に一役買ったのではないか。
■アメリカが抱える闇
そう考えると、突然の大失速にも説明がつく。
皆さんはトランプが批判の集中砲火を浴びたビデオについて、少し疑問に思われなかっただろうか。
確かに、下品極まりない内容だ。放送禁止用語の連発である。しかし、11年前の「ロッカールーム・トーク」が、これまで散々、暴言を吐いてきたトランプをここまで追い込むものだろうか。「輪姦は元気な証拠」、「女性は産む機械」等々、日本の政治家だって失言を繰り返してきたではないか。
このトランプのロッカールーム・トークに関する、ハーバードの男子学生たちの見解は興味深い。
トランプが移民を差別し、中国人を敵視しようと、コアなトランプ支持層(主に白人男性)にとって、それは「他者」に対する攻撃だ。どこかの知らない誰かが、トランプの餌食にされているくらいのことだった。
だが、今回は違った。
既婚女性を誘惑したことを、実名を出して告げ、その直後、ブロンドの美しい白人女性にエスコートされる。彼女の肩に手を置くトランプの締まりのない顔を見た時、彼らは一様に生々しさを覚えたらしい。
ギラギラとしたトランプの視線の先にいる白人女性が、自分の恋人や妹、妻や娘と重なった。その瞬間、トランプのむき出しの欲望が自分の愛する家族に向けられたような気持ちになった。彼らはそれに生理的嫌悪感を禁じ得なかったと言うのである。
トランプの「他者」に対する攻撃は、ポリティカル・コレクトネスに疲れ切った人々にとって、ある意味で爽快だったのかもしれない。しかし、「自分の守るべき家族」がトランプの欲望の射程に入っていると知ったとき、共和党のインテリ層の知的な思惑は、「気持ち悪っ……」という感情的な反発の前に、脆くも崩れ去ったのである。
トランプ現象の爆発的な広がりと、あからさまな失速はこう説明できる。
アメリカの行き過ぎたポリティカル・コレクトネスに反発したインテリ層は、自分たちが決して口にできない言葉を連発するトランプに喝采を送った。しかし、結局は、著しくポリティカル・コレクトネスに欠けるトランプの俗物性に耐えられなかった。
トランプを支持した、ハーバードのインテリ層の思惑は、彼らの人間としての感情に勝てなかったとも言える。
移民や女性への差別、格差問題に加え、インテリ層の抱える苦悩まで炙り出したトランプ旋風。
果たして、アメリカが抱える闇を余すところなく暴いたのだろうか。
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特別読物「民主党の牙城『ハーバード大学』にも吹き荒れた『隠れトランプ』旋風――山口真由(弁護士)」より
山口真由(やまぐち・まゆ)
1983年生まれ。東京大学法学部在学中に司法試験と国家公務員1種に合格。首席卒業し、財務官僚を経て2009年から弁護士。2015年夏からハーバード大学ロースクールに留学し、2016年8月に帰国。著書に『いいエリート、わるいエリート』など。「週刊新潮」2016年11月10日神帰月増大号 掲載
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20161109-00514398-shincho-int
「悪夢」「ブレクジットよりひどい」 トランプ氏当選、世界に衝撃
続きを読む【AFP=時事】米大統領選で共和党候補のドナルド・トランプ(Donald Trump)氏が勝利したことを受け、世界各国に衝撃が走っている。反対派が「危険な」指導者の米国首脳就任に身構える一方で、ポピュリスト(大衆迎合主義者)の政治家たちは一般市民が投票を通じて起こした「革命」を歓迎した。貿易から人権、気候変動、世界的な武力闘争まですべての問題に影響を及ぼす大統領選。深刻な分断を生んだ選挙戦の結果を受け、同盟諸国は外交上の平静を装う姿勢を見せている。
世界市場の一部は「トランプ・スランプ(急降下)」に見舞われた。政治経験を持たない不動産王トランプ氏の政策に対する不安感から、アジアでは株価が暴落。一方、欧州市場の株価は一旦下落した後に若干回復。米市場も混乱した。
メキシコ人移民を強姦者や麻薬密売人と呼び、両国の国境に数十億ドル(数千億円)をかけて壁を建設して費用をメキシコに払わせると公言したトランプ氏の当選に、メキシコ人は大きな衝撃を受けた。
一方のカナダでは、移住方法を模索する米国人が殺到した移民省のウェブサイトがダウンした。
欧州のポピュリスト政治家たちは、仲間であるトランプ氏の当選を受け、臆することなく喜びを表現。英国の欧州連合(EU)離脱、通称「ブレクジット(Brexit)」推進派の急先鋒だったナイジェル・ファラージ(Nigel Farage)氏は、「2つの偉大な政治革命」を称賛した。
貿易協定の破棄や移民の流入制限、気候変動の否定など、世界的潮流から逸脱した政策を基盤に選挙戦を進めたトランプ氏。主流派権力への激しい敵対姿勢によって権力を得た様子を、世界各国も注意深く見守った。
英学者のマシュー・グッドウィン(Matthew Goodwin)氏はツイッター(Twitter)で、「私たちは再び、白人で低学歴、大部分が労働者階級に属し、主流派政治から取り残されて世界市場に脅かされていると感じ、急速な民族的変化に大きな不快感を持つ人々の不満と怒りの深さを理解することに失敗した」と指摘。
英ロンドン(London)のバーで選挙結果を見守っていた米サンフランシスコ(San Francisco)出身の女性(24)は、「ブレクジットにとても似ているけど、たぶんもっとひどい。怖いです」と話し、「同性愛者の権利や妊娠中絶など、私たちの人権が後退するでしょう」と付け加えた。
またメキシコで「ヒラリー・クリントン氏を大統領に」と書かれたTシャツを着て選挙結果を見ていた建築家の男性(35)は、「悪夢だ。今後何が起こるのか、多くの不安がある」と語った。
英国の左派寄り日刊紙ガーディアン(Guardian)は、米国は「最も危険な指導者」を選出したと報道。「恐れるべきことは多い。米国民は、深淵へと足を踏み入れた。次期大統領は不安定で偏見に満ち、性的搾取者で、衝動に突き動かされるうそつきだ」と糾弾した。【翻訳編集】 AFPBB News
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161110-00000004-jij_afp-int
トランプ氏勝利 同盟国は慎重姿勢、極右は歓迎 各国の反応まとめ
続きを読む【11月10日 AFP】米大統領選で共和党候補のドナルド・トランプ(Donald Trump)氏が予想外の勝利を収めたことを受け、世界各国の指導者たちは自国への影響を注視している。極右派の政治家らは同氏を称賛。主要同盟国からは、慎重さをにじませた祝意が寄せられた。■欧州
ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領は、「ロシアは米国との成熟した関係を回復させたい意向であり、その準備が整っている」「遺憾ながらも悪化した関係を鑑みると、これが容易な道ではないことは承知している」と表明。
ドイツのアンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相は、トランプ氏が物議を醸す発言を繰り返したことに触れ、「ドイツと米国は民主主義、自由、法の支配の尊重、そして、出自や肌の色、宗教、性別、性的指向、政治的信条に左右されない人間としての尊厳という価値観を共有している」と述べ、首脳としての責任について念を押した。
英国のテリーザ・メイ(Theresa May)首相は「英国と米国は、自由と民主主義、進取の気性という価値観に基づいた持続的で特別な関係を築いている。この関係に基づき、次期大統領のトランプ氏と共に、向こう数年間にわたって両国の安全保障と繁栄を確保するために協働していくことを心待ちにしている」と述べた。
フランスのフランソワ・オランド(Francois Hollande)大統領は、トランプ氏の勝利により「不確実性の時代」が幕を開けたとして、欧州に対し「団結」し続けるよう呼び掛けた。一方、仏極右政党「国民戦線(FN)」のマリーヌ・ルペン(Marine Le Pen)党首は、トランプ氏の当選は「わが国にとって良い知らせだ」と歓迎した。
ハンガリーで強硬な反移民政策を進める右派連立政権を率いるオルバン・ビクトル(Orban Viktor)首相は「素晴らしい知らせだ。民主主義はまだ生きている」と、トランプ氏に祝意を表明。
■アジア
中国の習近平(Xi Jinping)国家主席は米中関係の強化に焦点を置き、「私は中米関係を高度に重視し、あなたと協力し、衝突や対立なく互いを尊重する姿勢を保っていくことを期待している」と述べた。
安倍晋三(Shinzo Abe)首相は、トランプ氏に祝意を伝えるとともに、「日米両国は、自由、民主主義、基本的人権、法の支配といった普遍的価値の絆で固く結ばれた、揺るぎない同盟国」と述べた。
韓国の朴槿恵(Park Geun-Hye、パク・クネ)大統領は、米韓が協力して北朝鮮に圧力をかける方針は「新しい米政権の下でも不変」でなければいけないと述べた。
■中東
イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相は「トランプ次期大統領はイスラエル国家にとって真の友であり、中東での安全保障と安定、平和に向け協働することを楽しみにしている」と述べた。
パレスチナ自治政府のマハムード・アッバス(Mahmud Abbas)議長は「2国家共存という解決策の基盤作りに関する次期大統領との協働および、1967年に定められた境界線に基づくパレスチナ国家設立の用意がある」と述べた。
■米大陸
カナダのジャスティン・トルドー(Justin Trudeau)首相は、同国にとって「米国以上に近い友人、パートナー、同盟国はいない」と述べ、貿易や投資、国際平和、安全保障などの問題でトランプ氏との協働を期待していると表明。
メキシコのエンリケ・ペニャニエト(Enrique Pena Nieto)大統領は、トランプ氏への祝意と、協働に向けた姿勢を表明。一方、トランプ氏が掲げていた、両国間の国境に壁を建設し、その費用をメキシコ側に払わせるとの公約について、クラウディア・ルイスマシュー・サリナス(Claudia Ruiz Massieu Salinus)外相は「壁の費用負担はわれわれの構想にはない」と、拒否する意向を示した。(c)AFP
「とても怖い」、 トランプ氏勝利に衝撃受けるイスラム教徒たち
続きを読む【11月9日 AFP】「私はとても怖い。また戦争が起きるのか。またアメリカはイスラム教の国々を攻撃するのか」──ドナルド・トランプ(Donald Trump)氏が米大統領選で劇的な勝利を収め、イスラム教徒たちが衝撃を受ける中、インドネシアの活動家、アリジャ・ディエテ(Alijah Diete)さん(47)は9日、こう問いかけた。トランプ氏の激烈な反イスラム発言は、同氏のポピュリズム戦術の中核だった。アジアのイスラム教徒の多くは、米国民がそのトランプ氏を世界最強の国の指導者に選んだことに絶句している。
不安に包まれたイスラム教徒たちは、トランプ大統領のもとで起きる恐れのある多くの問題を指摘している。トランプ氏が約束していたイスラム教徒の米国入国禁止を実際に実行するかどうかや、米国の政策の強硬化によりイスラム過激派が急増するのではないかなどといった問題だ。
「アメリカ人はまたしても世界をひどいめにあわせた」と語るのは、米国に親密な友人が数人いるというバングラデシュのサイード・タシュフィーン・チョードリー(Syed Tashfin Chowdhury)さん。バングラデシュでは大勢の人々が、徐々に判明する大統領選の開票結果に衝撃を受け、フェイスブック(Facebook)上では驚きの反応に賛意を示す声が相次いだ。
アジアのイスラム教徒の間で怒りと不安の声が広がる中、インドネシアの活動家のディエテさんは「イスラム教徒はトランプ氏にとってよそ者なんだ」と述べる。パキスタンでは、人々が悲しみに暮れる中、ある高官はトランプ氏勝利のニュースについて「とてつもない恐怖だ」と匿名を条件に語った。
国内で長らくイスラム武装勢力との間で問題を抱え、最近ではイスラム過激派組織「イスラム国(IS)」に大勢の国民が参加しているインドネシアでは、過激派が自らの大義を主張するためにトランプ氏の反イスラム政策を利用する恐れがあるとの不安が出ている。
トランプ氏の発言は票の獲得が目的であって、実際の外国人嫌悪政策には結実しないと期待する専門家もいる。一方、トランプ政権が米国内に暮らすイスラム教徒に及ぼす影響について、深刻な懸念を示す専門家も多い。(c)AFP/Sam Reeves
http://www.afpbb.com/articles/-/3107397?cx_tag=pc_rankday&cx_position=4#cxrecs_s
トランプ氏、大幅軍拡を宣言 対IS計画は「就任後に軍が策定」
続きを読む9月8日 AFP】米大統領選の共和党候補ドナルド・トランプ(Donald Trump)氏は7日、自身が大統領に就任した暁には、米国の軍事力を大幅に増強し、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」打倒に向けた計画を軍幹部に直ちに策定させると宣言した。ペンシルベニア(Pennsylvania)州フィラデルフィア(Philadelphia)で開いた選挙集会で演説したトランプ氏は、大統領就任後、軍幹部に対し、IS撲滅に向けた行程表を30日以内に策定するよう要請すると述べた。
また、現在の軍は「とても弱体化している」と指摘。大幅な軍拡が必要だとして、陸軍兵士の数を54万人に、空軍の戦闘機を少なくとも1200機に、海兵隊の大隊を36部隊に、海軍の水上艦や潜水艦を350隻に増強する案を打ち出した。
米大統領選では同日夜、米軍の最高司令官としての大統領の役割についての討論会が行われ、民主党候補のヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)氏とトランプ氏が順に登場する予定。同討論会は、両氏が共に参加する初めてのイベントとなる。
トランプ氏はフィラデルフィアの選挙集会で、クリントン氏を「けんかっ早く、非常に不安定」な人物だと批判。国務長官時代のクリントン氏のイラク、リビア、シリアの3か国での外交政策は「混乱と苦難、死をもたらしただけだ」と断じた。(c)AFP/Becca MILFELD
安倍首相とトランプ氏、17日初会談=日米関係強化で一致
続きを読む安倍晋三首相は10日朝、米大統領選で勝利した共和党のドナルド・トランプ氏と電話会談を20分弱行った。両氏は17日にニューヨークで初の会談を行うことで合意。日米関係を強化していくことでも一致した。
電話会談は日本側が申し入れた。首相はトランプ氏に祝意を伝えるとともに、「強固な日米同盟はアジア太平洋地域の平和と安定を下支えする不可欠な存在だ」と指摘。これに対し、トランプ氏は「日米関係は卓越したパートナーシップであり、さらに強化していきたい」と明言した。
トランプ氏は「安倍首相の経済政策を高く評価している。今後数年間、共に働くことを楽しみにしている」と述べた。環太平洋連携協定(TPP)は話題にならなかった。
首相がトランプ氏と来年1月の大統領就任前に会談するのは異例。首相はペルーでのアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議への出席に先立ち、ニューヨークを訪れる。
トランプ氏は選挙戦で、在日米軍駐留経費を日本が全額負担しない場合の米軍撤退を示唆。これに対し日本政府は、北朝鮮の核・ミサイル問題や中国の海洋進出に対処するには在日米軍を前提とした日米同盟の強化が重要との立場だ。首相は電話会談で「世界の経済成長の中心であるアジア太平洋地域の平和と安定は、米国の力の源泉だ」と理解を求めた。
トランプ氏には公職経験がなく、これまで日本が官民で築いてきた共和党人脈は生かせないとの見方が強い。政府は、トランプ氏が発足させる政権移行チームの関係者と接触を重ね、新政権の政策や人事などの情報収集を急ぐ。
同盟強化働き掛け=トランプ氏と関係構築急ぐ-首相補佐官を米に派遣・日本政府
続きを読む日本政府は、米大統領選で共和党のドナルド・トランプ氏が勝利したことを受け、関係構築を急ぐ方針だ。トランプ氏が日本防衛の義務を放棄するかのような発言を繰り返してきたことから、日米同盟の重要性を理解してもらい、連携強化を働き掛ける考え。安倍晋三首相は、河井克行首相補佐官を14日からワシントンに派遣するなどして、次期政権と意思疎通を図る。首相は9日、首相官邸で記者団に対し、「トランプ次期大統領と世界のさまざまな課題に共に協力して取り組んでいきたい」と表明。同時に「日米同盟は普遍的価値で結ばれた揺るぎない同盟だ。その絆をさらに強固なものにしていきたい」と同盟強化を呼び掛けた。河井補佐官の訪米時にも、トランプ氏のブレーンらに首相のこうした意向を伝達する。
政府が日米同盟強化に注力するのは、トランプ氏のこれまでの言動から、同盟の在り方の転換を迫られる可能性を警戒しているためだ。トランプ氏は選挙戦時、「公平な負担を払わないなら、われわれは日本を守れない」と述べ、在日米軍経費を日本が全額負担しない場合の米軍撤退を示唆。さらに、日本の核武装にも一時言及するなど、従来の米国のアジア外交と一線を画してきた。
仮にトランプ次期政権がこうした方向へ政策を見直せば、アジア太平洋地域の不安定化を招く可能性が大きく、政府関係者は「日米同盟を基軸とする日本外交が揺らぎかねない」との懸念を示す。日本は、東・南シナ海で海洋進出を強める中国に対抗する上で米軍の抑止力を重視。韓国の朴槿恵政権が弱体化する中、核・ミサイル開発を続ける北朝鮮への対応でも米国との協力が欠かせないとの立場だ。このため、トランプ氏側に対し、「日本が安全保障で『ただ乗り』している」との誤解を解き、連携強化を訴える。(2016/11/09-22:12)
大波乱の時代に突入する世界=米大統領選
続きを読む米大統領選挙で、共和党候補の実業家ドナルド・トランプ氏(70)が大接戦の末、民主党候補のヒラリー・クリントン前国務長官(69)を抑えて勝利を収めたことは、世界に大きな衝撃を与えた。各国市場の動揺は避けられず、安全保障面でも不透明感が強まるのは間違いない。世界は大波乱の時代に突入する。◇衝撃的な勝利
開票が進み、トランプ氏の勝利が濃厚になった段階で、AFP通信は「衝撃的な勝利」が迫っていると報じた。3回のテレビ討論では、いずれもクリントン氏が内容で勝り、事前の世論調査でもおおむねリードを保っていた。しかし、クリントン氏有利という常識的な見方は「トランプ旋風」に蹴散らされた。
激戦州のオハイオ、フロリダ両州で勝利を収めただけでなく、民主党の地盤であるペンシルベニア州なども獲得して、低所得の白人労働者層の強い支持を見せつけた。
ニューヨーク・タイムズ紙が9月中旬に発表した世論調査では、「政治に真の変革をもたらすのはどちらか」との質問に、トランプ氏と答えた人が48%に上り、クリントン氏との回答は36%だった。選挙結果は、この差が決定的な形で表れたとも言えよう。
米国民の多くは現状に不満を持ち、既存の政治に「ノー」を突き付けたかった。そして、クリントン氏はまさに既成政治家の代表格だったのである。
◇ほくそ笑む中ロ
トランプ氏の勝利は、国際情勢にどのような影響を与えるのか。米ロ関係は「新冷戦」と言えるほど冷却化している。ロシアが2014年3月にウクライナのクリミア半島を強引に併合してから、世界は一変した。その後もウクライナ東部では、親ロシア派と政府軍の内戦が続いている。シリア内戦にもロシアは軍事介入した。
北大西洋条約機構(NATO)は7月、ロシアを恐れるバルト3国などの防衛を確実にするために、4000人規模の兵力派遣を決定した。ところが、トランプ氏はNATOを「時代遅れ」と呼び、プーチン大統領のリーダーシップをほめ上げる。世界秩序を乱すロシアへの批判は聞かれない。プーチン大統領にとって願ってもない人物がホワイトハウス入りする。
中国の習近平国家主席は、経済問題で「トランプ政権」と衝突が予想されるものの、南シナ海の領有権争いでは孤立主義的なトランプ氏の方が、クリントン氏よりくみしやすしと考えそうだ。
日米関係は危機的状況に陥るかもしれない。東シナ海で緊張が続いている中、日本の防衛負担増を求めるトランプ氏を説得するのは容易ではない。日米同盟は大きな岐路に差し掛かる。(時事通信解説委員・明石和康)(2016/11/09-17:54)
http://www.jiji.com/jc/article?k=2016110900773&g=use
トランプ氏勝利にデモ相次ぐ=道路封鎖、重傷者も-米
続きを読む【ロサンゼルス時事】米大統領選で共和党のドナルド・トランプ氏が勝利したことを受け、西部カリフォルニア州などで9日未明から抗議デモが相次いだ。地元メディアによると、同州北部オークランドでは、デモ参加者が道路を封鎖し、車に接触した1人が重傷を負った。
オークランドでは、参加者が車に物を投げたり、新聞社の窓ガラスを割ったりした。オレゴン州ポートランドでも約300人が道路を占拠した。
カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)では、学生ら約500人がデモを行い、「(トランプ氏は)わたしの大統領じゃない」と連呼した。
ロイター通信によると、カリフォルニア州バークリーの高校では9日、約1500人の生徒と教師が校庭で抗議集会を開き、ある女子生徒は「トランプ氏を選んだことで、時計が1950年に逆戻りする」と訴えた。
東部のニューヨークや首都ワシントンなどでも同日朝から抗議活動が行われた。(了)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161110-00000024-jij-n_ame
デーブ・スペクター氏は本気で心配「米国へのリスペクト失った」
続きを読む米大統領選は8日(日本時間9日)、開票され、共和党の実業家ドナルド・トランプ氏(70)が獲得した選挙人が過半数を超え、民主党のヒラリー・クリントン上院議員(69)を抑え、当選を確実にした。来年1月20日、第45代大統領に就任する。放送プロデューサーのデーブ・スペクター氏は“米国の選択”をバッサリ斬り捨てた。米国へのリスペクトを失ってしまった。大統領は「ああ、良いかもしれない」で決めることではない。トランプに大統領をやらせるのは、何の経験もない人に心臓手術を頼むようなもの。歯槽膿漏(のうろう)になったら歯医者に行くでしょ?車が壊れたら自動車工場に行くでしょ?専門家ってそういうこと。
しばらくはとても面白いと思う。大統領をやる能力がないことを分かっているはずだから、副大統領にめちゃくちゃ権限を与えて政治を握らせると思う。だけど副大統領に据えるマイク・ペンス(インディアナ州知事)は価値観が古い。大丈夫かなって心配になる。
大統領になったからこそ出てくるスキャンダルもあるだろうね。米国メディアは7~8割が民主党びいき。これまでのビジネスとかいろいろ責められるんじゃないかな。ヒラリーも素直に黙るとは思えないしトランプ降ろしが過熱するだろう。
政治に関しては、今まで言ってきた暴言を実行できるか。言ってきたことがむちゃくちゃだから、周りの政治家に説得されておとなしくなってしまうと思う。だけど、支持者にはクレージーな人がいっぱい。「そうですか」って言って引っ込むとも思えない。どうなってしまうのか興味があるね。(放送プロデューサー)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161110-00000084-spnannex-ent
<米大統領選・トランプ氏勝利>沖縄基地にどう影響? 思い複雑
続きを読む馬評を覆し大統領選に勝利したドナルド・トランプ氏。これまで、日本に米軍駐留費の負担増を求め、応じない場合は撤収もあると述べた経緯があるが真意は定かでない。ただのアピールか、それとも基地が集中する沖縄に変化をもたらすのか。沖縄県民には期待や不安などさまざまな思いが入り交じった。日米の返還合意から20年がたつ普天間飛行場を抱える宜野湾市。大謝名区の垣花辰勇さん(81)は「せめて普天間くらいは米本土などに移すきっかけになるのでは」と期待する。
同市宜野湾の宮城政一さん(72)は「オバマ大統領の誕生で期待したが大きな変化はなかった。だが米国民は『変化』を選んだ。普天間の姿勢にも変化は望める」と即時返還を願った。
宜野湾市で子どもの居場所づくりに携わる当山なつみさん(31)は米軍撤退に一定の期待感を示しつつ、選挙戦での発言から「国際関係でいざこざを招く不安もある」と懸念。「反米感情が強まれば、沖縄にも影響が出る」と不安視した。
一方、普天間飛行場の移設先となり、新基地建設計画が進む名護市辺野古。ヘリ基地反対協議会の安次富浩共同代表は「米国に有利な外交を展開し、沖縄が悪用されかねない。米軍が減っても自衛隊の配備強化が進みそうだ」と憂慮する。
「沖縄にとってクリントン氏当選は最低、トランプ氏なら最悪」と想定していたが、「トランプ氏なら、どう転ぶか分からない部分が少しはある。早急に沖縄の怒りの声を訴えなければ」と意気込んだ。
東村高江周辺の米軍ヘリパッド建設に反対する高江現地行動連絡会の仲村渠政彦さんは「軍事路線を走っている日本政府が、米軍を撤退させるとは思えない。逆に米軍基地への予算のつぎ込みが予想される」と不信感をあらわにした。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161110-00070466-okinawat-oki