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安いものには理由がある。それは、長年消費活動を続けてきた経験から得られる「鉄板の法則」と言っていいかもしれない。旅行ツアーであれば、料金が安くなるほど自由に旅ができる時間が減り、さまざまな制約を受けることになるのは常識だ。逆に、それなりの値段を払ったにもかかわらず、相応の自由を享受できないとなれば、帰着後に残るのは無理やり買わされた土産物と不満だけだろう。

 中国メディア・網易は7日、「日本観光よ、もう中国人のお金を騙し取るのはよせ」と題した文章を掲載した。記事は、5泊6日で5000元という決して激安ではない日本観光ツアーの内容が、かなりお粗末であったことを、参加客の話として紹介している。記事が紹介したツアーの内容をまとめると、以下のような感じになる。

 北京からわざわざ天津にバスで移動し、深夜便で東京に到着。東京というものの羽田ではなく成田で、再び狭いバスに乗せられ、1時間半かけてようやくホテルに着いた。大阪に移動した翌日は朝に大阪城に行き、午後に楽しみにしていた京都に行く予定。しかし、あまりにもスケジュールが過密で、どのスポットも掠る程度にしかいられない。そして、清水寺にやって来た時には午後6時の閉門ギリギリ。もうすぐ閉まると聞いて、バスを降りずに残る客が続出した。ホテルに戻ってきたのは午後11時近く。ホテルの温泉で疲れを取ろうと思ったら、11時で終了だった。

 さらに、別の日には「観光スポットに行く」と称して商店に連れて行かれる、食事はほとんど決まっていてラーメン、丼、中国料理の繰り返し、しかも量が少ない、ようやくバイキング形式の食事がやってきたと思ったら、「カニは別料金」と言われる、「日本にも騙し屋はいます。買い物は免税店で」と言って辺鄙な場所にある閑散とした「免税店」に連れていき、市価よりも高い値段で商品を買わされる・・・などといったエピソードが紹介されている。

 そして、旅の締めくくりも「午前の飛行機に合わせて空港付近のホテルに前泊。外出の機会を与えられずに帰国させられた」と説明。実質日本の滞在期間は4日間であったとするとともに、「帰着後、2度とツアーで旅行はしないと誓った」と結んだ。

 確かにこんなツアー旅行、参加したくない。ただ、事前に旅程表が出ていれば、飛行機の時間や宿泊場所などは把握できたのではないだろうか、と思う部分もある。カニの別料金もまあ、仕方ないかなと思う。ただ、「免税店」の件は、もし記事の内容通りであるならばひどい話。一体誰が「騙し屋」なのか、と問い詰めたくなる。

 国外旅行やツアーに慣れていない中国人消費者の知識・経験不足、そしてコストのことばかりを考え、旅行客の満足度など頭になさそうなツアー企画者の存在、という2つの要素があってこそ、「二度とツアー旅行したくない」と思わせるような旅行プランが成り立つのだろう。状況を改善するには、消費者が経験を積んで賢くならなければいけない。(編集担当:今関忠馬)